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鍼灸の臨床において、治療効果を出すことは言うまでもありませんが、リスク管理も同じくらい重要です。

具体的には

1)症状を増悪させない

誤治(寒熱を誤る)をすると、症状が増悪する可能性があります。

また、炎症部位への施術も症状が増悪する可能性があります。

2)気胸に気をつける

胸部・背部への直刺・置鍼は気胸を起こす可能性があります。

直刺をせずに、横刺を行うか、施灸をします。

出来るだけ置鍼はしないようにして下さい。

3)鍼の抜き忘れに気をつける

置鍼部位は見えるようにします。

タオルをかける場合はその部位だけ目立つ色にします。

使用した鍼管の数と置鍼した鍼の数をチェックすると良いです。

鍼灸治療において、再現性のある治療が出来るかどうかは大変重要です。再現性のある治療とは、Aという症状に対してαという治療を行うと、改善するという事を繰り返し再現できるという事です。再現性のある治療を幾つ持っているかで実力を推し量ることが出来ます。また再現性のある治療を持っていると自信をもって治療にあたることが出来ます。

治療セミナーの選び方

2019-03-07

現在様々な治療セミナーが開催されています。

それぞれに特徴がありますのでその長所・短所を知り受講することが重要です。

医師や研究者が発表する学会では最先端の医学知識を得ることが可能ですが、治す治療を習得するにはあまり向いていません。

一般的な治療セミナーでは知識習得型が多く、実際に治療が出来るようになるものは少ないです。

治療穴も効果が検証されていないものも多いです。

五枢会では知識の習得だけではなく、実技も行ないます。

治療穴は再現性のあるものをセレクトしています。

実技では治療が出来るように指導致します。

治療家として実力をつけるための方法

治療家として実力をつけ、開業出来るようになるためには本を読んでいるだけでは無理です。

一人の先生に最低三年以上師事することをお勧めします。

どうしてもそれが無理な場合は勉強会に参加した方が良いと思います。

ただ、実技指導のない勉強会ではなかなか実力アップが難しいと思いますので、実技指導のある勉強会を受けられることをお勧めします。

治療技術を身につけるには

セミナーで教わった治療技術を身に着けるには、実践することが最も重要です。頭で暗記するのではなく、体験として身に着けていくという事です。実際に患者さんの体の反応点を診たり、治療後の変化を見たりすることで、治療のセンスが磨かれていきます。

臨床をする上で大切なこと

勉強家の鍼灸師が陥りがちな罠として、「知識に頼りすぎる」という事があります。

舌診・脈診・腹診などを行ない、この病証だからこの治療・この経穴だと決めつけてしまいがちになるという事です。

やはり生きている体を見ることはとても重要です。

どこに反応があるのか、反応点の中で最も有効であるのはどこか?と患者さんの身体を探っていくと有効なポイントが検出される場合が多々あります。

反応点を見つける練習として最も良い場所は背部です。

背兪穴を中心に探っていくと良いと思います。

なぜ鍼灸師によって治療効果が違うのか?

鍼灸は治療する人によって全く効果が異なるのが特徴だと思います。

同じ患者さんに対し、全く効果を提供できない鍼灸師がいる一方、劇的な効果を出せる鍼灸師もいます。

この違いは何なのかについて4つのポイントを挙げてみたいと思います。

1.知識の違い

効果的な治療をどれだけ知っているかどうかという事です。

2.テクニックの違い

同じ経穴を取穴しても、わずかに取穴の違いがあったり、用いる鍼の太さ・深度・技術・灸の壮数などにより効果が異なって来ます。

3.治療家の持つエネルギーの質の違い

例えば木を例に取ると、触れた人が元気になる木とあまり元気にならない木があるのを感じたことがありますか?

山の中にある木は人を元気にしてくれますが、都心にある木はあまり元気にしてくれません。

同じように人間でも触れた人が元気になる人とあまり元気にしない人、逆に元気を吸い取るような人もいます。

4.発見力

治療をするには本だけの知識では無理です。

患者さんの身体を良く診て、今どこに治療をしたら最も改善するのか見抜くことが必要になります。

今現在開いている経穴を見つける力が重要です。

治療が出来るようになる人とならない人の違い

免許を取って間もない状態から患者さんを実際に治療できるようになるためには何が必要なのでしょうか。

1つ目には知識があると思います。

慢性疾患でその病気に関してかなり詳しい患者さんを納得させるだけの知識があるかどうかです。

2つ目はチャレンジ精神です。

100%完璧でなくてもとにかくチャレンジすることが重要です。

3つ目は結果を出していく力です。

何となく治療するのではなく、常に結果を出していくという気概があればプロの領域に入るのは時間の問題だと思います。

4つ目は良い指導者に出会うことです。独学で成功するのは至難の業です。

先人の知識・経験・知恵を借りていくことをお勧めします。


5つ目は良い仲間に恵まれることです。

お互いに切磋琢磨する仲間がいれば成功する確率は上がるでしょう。

症状と病証との関連

患者さんの訴える症状がどの病証から来ているのか把握することはとても重要です。

東洋医学の病証をとらえるときに、現代医学の病態把握が役立つことが意外と多いです。

例えばメニエール病の原因として内リンパ水腫が挙げられますが、これは東洋医学の痰飲の考え方に一致します。

また、月経血が異所性に体内に排泄される子宮内膜症は血証の概念に一致します。

ある症状に対し、原因の病証を考えて治療しても改善しないことがあります。

なぜなら他の複数の病証が原因として考えられるからです。

例えばめまいの原因としては、痰飲・上衝・血虚などが挙げられます。

そのうちのひとつの病証にアプローチしても、他の病証が原因では改善しないということになります。

また、複数の病証(痰飲・上衝など)が原因の場合もひとつの病証のアプローチではあまり改善が見られません。

複数の病証の中に補法を必要とするものと瀉法を必要とするものが混在している場合(例えば脾虚証と血証など)もあります。

その時には患者さんの訴えている症状が補法を必要としている病証なのか、瀉法を必要としている病証なのか確かめ、対応していきます。

今までの経験では急性の症状は瀉法が必要な場合が多いです。

局所治療と遠隔治療の違い

局所治療・遠隔治療それぞれに長所と短所があります。

局所治療の長所

1.「辛いところを治療してもらった」という患者さんの満足感がある。

2. 頑固なコリを取るには不可欠である。

3. 習得しやすい。

局所治療の短所

1.炎症があると悪化する恐れがある。

2.効果の範囲が狭い。

3.局所治療を続けていると、刺激に慣れて効果が出にくくなる。

遠隔治療の長所

1.  施術で悪化することがない。

悪化した場合は理学テストや施術時の姿位に問題があると考えられます。

2.  効果の範囲が広い。

3.  刺激の慣れ現象が生じにくい。

遠隔治療の短所

1.「辛いところを治療してもらった」という患者さんの満足感が低下する傾向にある。

2. 頑固なコリは取り切れない。

3. 習得するためには少し勉強する必要がある。

以上から遠隔治療は失敗が少なく、広範囲に効果を出すことが出来る優れた治療と言えます。

局所治療ばかりしていると、治療点が多くなるばかりで、効果が十分ではないことがあります。

特に多症状の方は対応が出来なくなります。

例えばある部位の筋緊張が強い時、遠隔治療である程度筋緊張を緩和してから局所治療を行うと、軽い刺激で十分な効果を出すことが出来ます。

しかし遠隔治療では局所の器質的変化が強い病態には100%効果を発揮することが出来ません。

関節の変形・局所的な浮腫・硬結を伴う著しい筋緊張・陥凹を伴なう虚軟な部位には局所治療をした方が早く症状が軽減します。

直後効果を出す

治療によって直後効果を出すのは無理だと思っている鍼灸師がかなり多いと思います。

実は私自身免許を取りたての頃は、「直後効果を出す」という概念すらありませんでした。

知人の鍼灸師から「直後効果は出せますよ。」と言われてから意識し始めたのです。

まず、筋肉の緊張の緩和は、局所治療でも可能ですし、遠隔治療でも可能です。

特定の筋肉の緊張が緩和することにより、肩こり・頭痛・腰痛などの症状が改善します。

また、内臓の反射領域の筋緊張が緩和することにより、内臓の不調にも対応できます。

胃の痛み・胸痛・生理痛など痛みを呈する場合でも、筋緊張の緩和を指標において治療することにより、直後効果を出すことが出来ます。

なぜ五枢会のセミナーでは病態把握・鑑別診断を重視しているのか?

鑑別診断は学校の授業でも行っており、特に必要性がないと思っている方もあるかもしれません。

しかし、実際の臨床を行なっていると以下の事に気づきます。

1)予想以上に難しい病気の人(不適応症)の人が受診して来る。

予想以上に難しい病気で私が遭遇した疾患としては、多関節痛→多発性骨髄腫、胸背部痛・下半身のしびれ・歩行困難→脊髄腫瘍、上下肢の麻痺→重症筋無力症、胸痛→心筋梗塞、慢性の咳・痰→肺癌、肩の痛み(夜間痛)・上肢のしびれ→パンコースト腫瘍などです。

その他代田文彦先生が監修された「鍼灸不適応疾患の鑑別と対策」(医道の日本社)の中には、自然気胸・癌の骨転移・腸閉塞など多くの症例が報告されていますので参考になさって下さい。これらの疾患では手術などの現代医学的治療が遅れると生命にかかわるものや、障害が残るものもあります。

2)同じ症状でも治療法が異なる

同じ頭痛でも局所治療をすると緊張型頭痛は改善しやすく、片頭痛では悪化する場合があります。頚部痛で寝違いの場合は運動鍼で劇的に改善しますが、頸椎症では悪化することがあります。関節痛でも変形性の場合は局所治療で改善する場合も多いですが、リウマチでは難しいことが多いです。不眠症で精神神経疾患がない場合は改善しやすいですが、うつ病・統合失調症・神経症由来の不眠は改善しにくいです。

3)治療期間・予後を推定できる

適応症の場合、同じ疾患でも治療期間・予後が異なります。例えば腰痛を例に取ると、筋性の場合・椎間関節型の場合・椎間板ヘルニアではそれぞれ治療期間が異なります。病態を把握することにより治療期間・予後を推定することは、患者さん・鍼灸師両方にメリットがあります。

病態把握は東洋医学的診断の根拠となります。例えば房水の流れが悪い・内リンパ水腫→痰飲が典型例です。

身体を東洋医学的だけではなく、現代医学的病態把握からも見ていくことにより、より立体的にとらえることが出来ると考えています。

五枢会の治療法は標治法なのか、本治法なのか?

以前、セミナー受講生に「五枢会の治療法は標治法なのですか、本治法なのですか?」と聞かれたことがあります。

学校の教科書では、「標治法」は症状を治療する事、「本治法」は疾病の本質を探り治療する事と分類されており、全く別の治療(2本立て?)になっているように書かれています。

しかし、私は病気の原因をその様にとらえておりません。

五枢会の治療方法の特徴は主に2つに分けられます。

1) 本治法を行うことで症状が改善する。すなわち本治法と標治法を同時に行う。

2) 体質傾向(病証)が<ある状態>を起こし、<ある状態>が症状を起こすので、病証と<ある状態>の治療を行う。

 例えばめまいを例に取ります。体質傾向として脾虚証があるとします。脾虚証が原因で首のこりが起こり、首のこりが原因でめまいが起こっていると考えます。鍼灸治療としては、脾虚証の治療と首のこりの治療を行います。

つまり表面に現れている症状は体質傾向と無関係なのではなく、直接または間接的に関連していると考えています。

鍼灸師自身が最も気を付けること

自分自身の健康管理は最も重要なことの一つです。

自分の体調が悪いと人の治療をするどころではなくなります。

風邪・二日酔いの状態では治療家の持つエネルギーの質が低下し、患者さんの邪気を引き

つけ易くなってしまいます

風邪を引かないよう注意する他、食事は食べ過ぎないよう気を配って下さい。

食事の内容では添加物の多い加工食品を出来るだけ取らないように。

お酒を飲む人は二日酔いの状態で治療をしないようにして下さい。

基礎の大切さ

五枢会のセミナーでは実技指導を行なっています。

整形外科攻略セミナーでは解剖学的取穴、内科疾患攻略セミナーでは手技鍼を中心に実技を行なっています。


2016年度から基礎的な実技指導も追加しました。

そのことにより、セミナー参加者の実技の力が大幅にアップしました。


新しいことを覚えることと同じくらい基礎を固めることが重要であることを痛感しました。

もし実技で伸び悩んでいる場合、基本に立ち返ってみるのはいかがでしょうか?

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